2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

花言葉

足先が冷たい。夜桜を見に、外に出たい。迷惑をかけるのは違うと知っているから、部屋の中で静かにしている。知らない土地に踏み入れた時の自分の異物感を、音楽を聴くことで掻き消そうとしている。大丈夫、そんなことはないと言い切って無かったことにしよ…

声と月

悲しいことに、誰かの歌を聴くことが辛い時がある。音楽を聴きたくて、孤独は嫌だと思いながらも、曲を永遠にスキップし続けることがある。 幸運なことに、自分の録音した声や歌は耐えられた。多分それは、上手い歌じゃないからで、ホワイトノイズの多い、不…

ここにはひとつの壁、一本の線。

信頼が揺るがない、という関係性を構築するためには、ある程度の苦痛と幸福の共有が必要なのかもしれない。 好きな歌手が誰かは言えるけれど、その理由は言えない。好きな画家が誰かは言えるけれど、その理由は言えない。全てのことに理由がある、とは言い切…

りんごが食べたい

みんな、わたしはおんなのこだからりんごを食べたらダメだという。 りんごの味をわたしは知っている。わたしが女じゃなかったら、という言葉はわたしが憎むときにだけ許される言葉で、君が言っていい言葉じゃないってことを、さっき言いかけた。 君は自慢げ…

2:59-3:35

文章を書くのが好きだ。というか、わたしにはこれしかないから。 文章を書くのが好きだ、というのは実は嘘だ。わたしにはこれしかないから。 文を書いているときだけは、自分の虚を認めることができる。虚から生まれた言葉だから、仕方がないというか、理に…

閉じ込めた言葉の墓場

自分の内面に巣食う、暴力的で鋭利で、誰も許さない毒々しさに、頻繁に気づいて、ついでにそれごと殺してしまいたくなる。自分のことを。 「言葉がうまい」という良くも悪くも取れる言葉をかけられたとき、どんな顔をして良いかわからない。わたしは内側に秘…

手を握って

噛んだせいで形のおかしい爪を、手の甲に食い込ませた。ここで声を上げたらいけないと思ったから。声を上げたら殺される。ここで声を上げたら、無理やりここから追い出される。権利もクソもないから。女の子だから、という言葉に何度縛り上げられただろうか…